コーヒー産業とビジネス

コーヒーのビジネス ~産業構造~

 コーヒーはコーヒーベルト地帯=生産地で栽培・精選され、「生豆」として消費国に輸出されます。「コーヒー生豆」は焙煎され、飲料として消費されていきます。

コーヒー生豆の生産 農園、精選、輸出

 世界各地のコーヒーノキの産地で栽培⇒収穫⇒精選⇒輸出されています。日本ではコーヒーノキは商品として栽培されていないので、生豆を100%輸入しています。
生産地の各農園で育てられたコーヒーの果実は、年1回の収穫が行われる。現地で精選作業が行われ、「コーヒー生豆」として世界各地に輸出されます。

  • コーヒー生豆商社 輸入、国内大口流通

 UCC上島珈琲、石光商事、ワタルなどのコーヒー専門商社の他、多くの商社が輸入している。生産地での品質管理を行うこともある。
ほとんどのコーヒー生豆はドンゴロス(麻袋)入りで1袋60kg~となっている。船での輸送が主流。

  • コーヒー生豆販売(国内流通)

 コーヒー豆焙煎事業者やビーンズ事業者(焙煎・即売店)にコーヒー生豆を販売する。輸入商社に比べて小ロットでの販売を行う。
家庭で焙煎する人も増えており、インターネット販売を中心にコーヒー生豆販売事業者が増えてきている。60kg~入り麻袋で仕入れて小分け販売も行っている。
 コーヒー焙煎事業と兼業で生豆国内販売を行っている事業者もあります。

コーヒー豆焙煎事業(加工事業)

 消費者向けのコーヒーブランドからの委託を受けてコーヒー焙煎を行う。
コーヒーの焙煎機械や粉砕機、梱包機械の設備投資を行い、業務委託での焙煎を行う。パッケージングも含めて量販店等のプライベートブランドに対応している事業者も存在する。

コーヒーを消費者へ販売(小売)

コーヒー豆の商品分類

商品特性から大きく分けて、「レギュラーコーヒー」/抽出するコーヒーと「インスタントコーヒー」/お湯で溶かすもの、があります。

  • 量販型
    大量生産大量消費型、大手スーパーなどチェーン店や量販店での販売用に開発されるコーヒー商品で、パッケージングまで行うことが多い。国内老舗はUCCとキーコーヒー。近年ではブルックスが通販型で「ドリップコーヒー」の商品開発行い、レギュラーコーヒーを全国にひろめた。インスタントコーヒーでは、「ネスカフェ」でお馴染みのネスレ社が有名です。
  • 挽き売り店型
    店頭では、コーヒー豆を陳列して、その場で粉砕・パッケージングを行う。Keyコーヒー直営店やカルディファームのようなスタイル。小店舗小売型でも多く見られるスタイル。レギュラーコーヒー専門の販売スタイル。 
  • ビーンズ店型
    店頭では、「コーヒー生豆」を在庫しています。注文が入ると、その場で焙煎するスタイルです。多品種少量焙煎となることが多い。焼きたての風味と、焙煎の待ち時間のコミュニケーションも特徴となり、フレンドリーな地域密着しやすい。資本投下理論が成立しづらいので、大手資本の参入は見られない。

販売チャネル

 店舗販売、カタログ販売、インターネット販売、オフィス・業務用(ホテル、レストラン、自動販売機など)の販売チャネルでコーヒーが販売されている。

飲食型コーヒーサービス(フランチャイズの出現)

 店内でコーヒー飲んでもらう飲食サービスに加えて、自社ブランドコーヒーを開発してパッケージ販売も行っている。収入源は、店内飲食型+テイクアウト飲食型+パッケージ小売の3つがある。
 商店街等の喫茶店型から大手資本の軽快なカフェが主流になっている。
店舗数を拡大しやすいフランチャイズスタイルで全国ブランドを確立しているのがドトール、エスプレッソ系でスタートしたサザビーのスターバックス、独立系でフランチャイズのタリーズなどがある。
 2013年にはコンビニでの低価格コーヒードリンクの販売が急増した。

関連産業(生産材ビジネス)

コーヒーマシン

 国内では家庭用コーヒーマシンで、カリタ、メリタが最大手。業務用でラッキーコーヒーマシンとカリタが老舗。エスプレッソマシンは主に欧州メーカー製品の輸入が多く、デロンギ、サエコなどがある。

コーヒー豆焙煎機械

 フジローヤルブランドで知られる富士珈機、BONMACブランドで知られるラッキーコーヒーマシンが大手である。業務用焙煎機は、熱源はガスが主流で直火式、半熱風式、熱風式がある。100kgなど大量焙煎では熱風式のみとなる。小型の直火焙煎機では、コーヒーを焙煎する釜の形状(長さ)に違いがある。
最近では、コンピュータ制御の焙煎機が開発されている。
ご家庭でも使える小型焙煎機メーカーではユニオン、マーキスがある。

パッケージ・梱包材

 焙煎後のコーヒーは熱と水分に弱いため、各種素材を使ったパッケージ(梱包資材)が開発されている。空気や光を通さない素材が多く使われているが、コーヒーがガスを放出するため最適な素材は一概には特定できない。コーヒーパッケージをオリジナルデザインで行う場合、3万枚以上となることが多い。真空パックやアロマシールなども利用されるが、焙煎後のガス抜きを行わないと真空効果がえられない。
閉封用器具としては、シーラーが使われる。富士インパルス社などが販売している。

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