「お勧めのコーヒー生豆」

「おすすめのコーヒーは何ですか?」と聞かれることがあります。

コーヒー豆を扱い始めて10年以上経過しましたが、一番多い質問(?)かもしれません。

この質問への回答をどのようにしたらよいのかとても悩むところです。

特に、コーヒー生豆について質問されるときは一層悩みます。

まずはなんといってもすべきことは、質問の意図を把握することです。これはができれば回答内容をどの程度細かくするかを決めることができます。

と申しますのも、この質問「おすすめのコーヒー生豆は何ですか?」という質問への回答は複数のパターンがあり得るからです。回答内容の濃度という点からいえば、10人8色くらいにはなるのではないかと考えられます。

焼き豆(レギュラーコーヒー)ですと、風味の好みで済むので2,3質問するとその人に合うものをお勧めすることもできますし、質問の文字のとおりに”私がすすめる”コーヒーを開示すれば充分ということになります。多くの場合は、前者を求めているように思います。焼き豆についてはまたの機会に投稿したいと思います。

コーヒー生豆の場合は、風味の好みだけでお答えするわけにはいかない内容だと思うわけです。焙煎加工して飲むことが前提だということはほぼ間違いないのですが、焙煎技術を向上させたい、コーヒー銘柄に対するノウハウの幅を広げたい、おいしく飲みたいといった観点に、質問される方が想定されている焙煎内容(方式、濃度、手法)、風味の趣向性、焙煎技量の度合いなども考慮されるべきものと考えられます。どの要素を見ても価格合理性も必須です。価格合理性は、こちらの基準は日々接している流通価格という基準で見ておりますが、質問される方の情報量はそれぞれとなるうえに、値ごろ感は比較することが要件であることが多いと思っています。自分自身も絶対的な価値基準を持っているわけではなく、比較の上に判断することのほうが多いからです。

たとえば、Aというコーヒー生豆が1000円で、Bという生豆が500円だとすると、500円が安いということは言うまでもありません。値ごろ感ということになると、品質やプレミアム要素などAとBの500円の差あるいは2倍となる要因はなんだろう?ということが考慮されて判断することになります。そのうえで、Aは割安なおか割高なのかということになります。

そんなわけで、「おすすめのコーヒー生豆は何ですか?」はとても難しい質問だと思っており、ご質問いただいた方にはいくつも質問をしてその方に勧める銘柄を頭の中でsearchしています。もし、このブログを見ていただいたら、質問する際にできるだけ多くのヒントを付け加えることをお勧めします。焙煎方法や、想定濃度、いつも使用している生豆の産地やグレード、ハンドピックはいとわないのか?、コーヒー焙煎の上級者?、好きなコーヒー銘柄や風味の特徴などなんでも助かります。

コーヒー生豆のグレードについては、グァテマラについての投稿を参考にしてください。

コーヒー生豆 グァテマラSHB(スタンダードグレード)

グァテマラは、品質の高いスペシャルティコーヒー豆を数多く生産している産地のひとつです。

今年13/14年は、世界的コーヒーチェーンの大量購入、サビ病などにより流通状況が例年とは異なっているようです。

コーヒー生豆の品質が例年と比べて大きく劣っています。特にスタンダードグレード(コマーシャルグレード)以下のコーヒー生豆に顕著なようです。

 

グァテマラ産スタンダードグレードのコーヒー生豆は、「SHB」グレードのみを取り扱っておりますが、昨年の終わりごろから品質低下が始まった感がありました。さらに、仕入れるたびに品質が下がっていく印象を持っています。

輸入されているすべてのグァテマラSHBコーヒー生豆を見たわけではないので、どこかで質のよいの生豆が入手できるのかもしれません。したがいまして、グァテマラSHBの全数についての評価ではございませんが、コーヒー生豆の流通事情を感がえますと、おそらく少なくとも日本に来ているSHBは同等のものだと考えられます。昨今のグァテマラの事情を加味すると、おそらくは世界的にグァテマラSHBの品質が良くない状態ではないと予想してます。

 

この「スタンダードグレード」や「コマーシャルグレード」というのはご存知の方はそれなりにコーヒー通です。

「標準品」と言われるこっともありますが、これは日本語にしただけですね・・・。

ときどき当社の基準、販売会社や焙煎事業者が付けている商品区分だと思われている方がいらっしゃいます。「スタンダードグレード」という等級は、輸出国でつけている等級ですので、コーヒー業界では「共通規格」となります。

さらにこの輸出国に基準は、国地域ごとに各地のコーヒー協会により等級分けされる仕組みです。日本で言えば農協による規格というイメージになると考えられます。グァテマラを例にみますと、アラビカ種のコーヒー生豆みで等級は以下の7つです。
SHB ストリクトハードビーン
HB ハードビーン
SH セミハードビーン
EPW エクストラプライムウオッシュド
PW プライムウオッシュド
EGW エクストラ・グッド・ウォッシュド
GW グッド・ウオッシュド

この7つの基準は、コーヒー生豆を収穫した標高で分けられています。標高が高いほど品質が良いコーヒーとされており、価格はSHBが最高値となります。

私が実物を見続けているのは「SHB」のみで、上記でふれました”今年の質の悪さ”はSHBについてです。

 

やや分かりにくいのですが、ここの「スタンダードグレード」の上位にプレミアムグレード、グルメコーヒー、スペシャルティコーヒーという区分があります。それぞれは厳密には異なるようなのですが、ここではスタンダードグレードの上位グレードということで定義しておきます。

この上位グレードは、やはり生産地で格付けしているのか?というとこれは異なりまして、プレミアムのついたコーヒー豆ということになります。品種の特定やトレーサビリティといった要素がプレミアム付けになっています。品評会を開催して入賞したコーヒー豆(COEなど)もあります。

グァテマラの場合、プレミアムグレードは地方や農園を特定して品種を明示しているものが主流です。現地での栽培からハンドピックまで高い品質管理が行われています。

現在のグァテマラ産は「スタンダードグレード」と「プレミアムグレード」は別のコーヒー生豆といえるほど差が大ききなっています。

NYのコーヒー生豆相場2014

コーヒー生豆はNY商品市場で取り扱われています。

商品市場での取引金額は、コーヒー生豆の輸出価格に大きな影響を与えます。

日本はコーヒー生豆の100%を輸入によっていますので、この相場の動きは現物の流通価格へも反映されるためコーヒー業界では注目されています。

最近のNY商品市場でのコーヒー生豆のチャートを見てみます。

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相場ですので、価格の変動はよくあることです。

2011年には300セントをつけコーヒー業界に激震が走りました。それ以前の相場としては、100セント前後が通常で150セントで高値という時代が続いていましたので、相場の価格幅が大きくなった、価格の階段が高くなったという認識をもってしまった可能性があります。

チャートをみると、2013年11月に100セントとなりこれが最安値でした。そして、2014年に記録的な急騰となりました。2013年はコーヒー価格は安定して安価に推移していましたので、突如やってきた災難という感じが強かったです。高騰当初はいろいろな思惑がありましたが、再度の高度のはないものの年内に急落もないだろうという見解が主流のようです。皆が安心したころに相場が動くこともありますので予測よりも不測の事態に備えることが優先となります。コーヒー業界は、相場で儲ける金融ビジネスではなくコーヒー豆を消費者に提供する食品加工産業ですので、安定した価格・品質でコーヒー生豆が流通することが歓迎されます。

もともと商品市場でも取引量が多いので、投機家の影響もあります。

コーヒー生豆の高騰が投機家によるもののみですと短期間で元の価格帯に戻ることが多いのですが、

2014年1月からの高騰は長引いている方です。6月終盤からようやく下げる傾向が出ていますが、中米のさび病被害やマンデリン(インドネシアスマトラ)やグァテマラのコーヒー生豆の事情がありまだ150セント以下にならない状態が続いています。

2014年1月からの高騰となった最大の要因はブラジルの雨不足でした。ブラジルはコーヒー生産量の30%を占めるので、ブラジルの天候不順はコーヒー生豆相場への影響が大きくなります。幸い、2013/14は予想以上の収穫との報告がありやや下げている状態となりました。

日本国内では、4月から消費税の変更と運送会社の値上げもあり、コーヒー生豆の高騰とあわせてコーヒー業界には大きなインパクトがあります。コーヒー生豆相場の高騰で最も影響を受けるのはコマーシャルグレードや工業用のコーヒー豆となります。量販品のレギュラーコーヒー、缶コーヒーやインスタントコーヒーにはより厳しい状況だと思います。

コーヒー生豆 COEオークション前半終了

5月末のニカラグァにはじまり7月初旬のメキシコまで、コーヒーのコンベンションCOEが開催されました。

入賞したコーヒー生豆は、オークションで取引されます。1999年にブラジルで始まり、今年は10カ国で開催されます。

伝統的コーヒー生豆生産国のインドネシア、エチオピアでは開催されていません。

コーヒー豆は、赤道周辺の地域が主要輸出地帯となっています。ほとんどの生産国は、有力な外貨獲得産業となっています。COEと通常コーヒー生豆は流通が異なるので、お国の事情が参加不参加に影響していると考えれます。

7月で参加地域の半分以上のオークションが終了しました。各国・地域の1位入賞となったコーヒー生豆の落札状況をみてみました。

サビ病被害の出ている中米のコーヒー生豆が対象でしたこと、商品市場でのコーヒー相場が高値圏でのオークションとなりました。ホンジュラスとコスタリカは高値でしたが、他の国は昨年よりも安価となりました。

2位以下のコーヒー生豆もみますと、最低落札殺価格が上昇しました。

1位のコーヒー生豆の落札者はあいかわらず日本の企業・団体が占めています。台湾と韓国の企業・団体も登場しました。この傾向は遡ること数年前の2010年から、下位入賞のコーヒー生豆の落札者に台湾、韓国の企業団体がでてきた流れの中にあると考えられます。さらに中国大陸の企業・団体も参加しておりますので、今後はアジア勢が上位を占めるようになると思われます。

 

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COEとは?(Cup of Excellence)
その年に収穫されたコーヒーの中から最高品質のものに送られる賞で、中米・南米・アフリカ各国でコンテストが行われています。国内予選を勝ち抜き、国際審査会において世界各国の国際審査員より風味・品質に焦点をあて、ユニークで稀有なコーヒーとして評価されたわずかなコーヒーだけが称号と授与されたコーヒーが『カップ・オブ・エクセレンス-Cup of ExcellenceR』として世界に知れ渡ります。雑味がなく高品質のスペシャルティコーヒーだけが持つ特有の風味、口に含んだ量質感、心地よいアロマと活き活きとした酸味、甘い果物を思わすフレーバーを兼ね備えています。

コーヒー生豆は、生産国で等級をつけられていますが、消費者サイドで評価するという従来とは異なる立場で評価する仕組みとなります。

コーヒー生豆 ブラジルのセラード地方アマレロ

ブラジルは世界のコーヒー生豆の30%を生産するコーヒー王国です。

13/14年のコーヒー生豆の生産量実績は次のようになります。
1位 ブラジル:53,700 千袋
2位 ベトナム:28,975 千袋
3位 コロンビア:11,000 千袋
合計      150,145 千袋

ブラジルのミナス・ジェライス州のセラード地方産のコーヒー生豆はプレミアムグレードで日本にも輸入されています。

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コーヒー生豆のブルボンアマレロ品種は、数多くの品質コンクールにおいて毎年安定的に上位入賞することから、ブラジルで美味しいコーヒーを生産するためには欠かせない品種となりました。現在では多くの産地で増産傾向にあります。
ブルボンという品種は100種類以上研究所にあり、中でも生命力が高く、それぞれの産地に適しているものが選ばれ、一般の農園で植えられていきます。
現在ではヘクタール当たりの生産量も多くなり、特別な希少価値は昔ほどはありません。
味覚の面から優れていることも多く、プレミアム価格が付くことがありますので、スペシャルティマーケットとともに今後も増産の可能性はあります。

由緒正しき王家や貴族には必ず系図が存在し、その歴史を現しています。エチオピアで生まれたコーヒーにも系図があり、その祖先をたどっていくとティピカ種とブルボン種にたどり着きます。ブルボン種は大航海時代にブラジルの地に定着し60年代にはブラジルの全土で栽培されるようになりました。その後、度重なる天災とブラジル政府の国策により、より多収穫で病害虫に強いハイブリッド品種に植え替えられていきました。サントスNO2に代表される生産国ブレンド型はやがて品種ごとの収穫を排除させ、100%ブルボンは失われていきました。

1989年にブラジルコーヒー院が崩壊し、輸出の自由化と共にブルボン種を守り続けた数少ない生産者から100%ブルボン種の収穫が復活しました。コーヒーの系図の最上級にあたるブルボン種は他に追随を許さない香味を持ちます。人類の進化の歴史の様に長い系図は一つの文化が成熟した時に見せる華麗さと繊細さを併せ持つ王家として君臨される最高級なコーヒーと言えます。

セラードアマレロ-(3)

 

コーヒー生豆セラードブルボンアマレロ

国 : ブラジル
エリア : ミナスジェライス州セラード地域
品種 : ブルボンアマレロ
収穫:5月下旬〜8月下旬
生産処理 : Semi-Washed(水洗式)
生産処理 : 16-18